牧野洋己さん、紀子さんご夫妻

山形県上山市狸森

【自休自足Vol.33掲載】

美しい水辺の木々に囲まれて焙煎がしたい。

山形市内から車を走らせること約20分。美しい自然に囲まれた地に、牧野洋己さん、紀子さんが営む『狸森焙煎所』はある。
東京で生まれ育った洋己さんは、子どもの頃から漠然と、田舎で暮らしたいという思いを抱いていた。10年間勤めた会社を辞め、都内の有名な焙煎人のもとで修業をつんでいた頃、自分が本当においしいと思えるコーヒーを淹れたいという気持ちと、田舎で暮らしたいという思いを、いつしかひとつに重ね合わせるようになった。
「美しい水辺の木々に囲まれて焙煎がしたい。コーヒー豆は通販で売る予定だったので、宅配便が来てくれるところならどこでもよかった。じつは、この物件と出会ったとき、すでに北海道の洞爺湖の近くに移住しようと決めていました。それでも山形を選んだのは、自然がありのままの姿で残っていると感じたから。それと、はじめてこの物件を見たとき、手を入れれば素敵な空間になると直感したんです」(洋己さん)

地域の方々は本当にあたたかく接してくれます。

約1年をかけ建物を直した二人が、狸森焙煎所をオープンしたのは2009年3月のこと。この地に暮らし始めると、消防団や地区の活動への参加など、東京では経験したことのないことが待ち受けていた。
「お店をしながら、公民館の雪かきなどに参加するのは大変といえば大変です。でも私たちは地域の方々にまだまだ助けてもらってばかり。『これ食え!』と野菜や山菜、キノコをいただいたり、『これ植えろ!』って野菜の苗をもらったり、みなさん本当にあたたかく接してくれます」(洋己さん)
また、地区のおじいちゃん、おばあちゃんたちは、オープン当初から常連になってくれた。今では県内はもちろん、仙台、福島からも多くのお客さんが訪れる。 「私たちのように、空き家を改装してお店を始めたいという方も相談に来ます。その方々が実際にお店をオープンしたりして、これから山形がもっと楽しくなりそう! 私たちのお店は大繁盛している訳ではありませんが、それでも好きな仕事をしながらなんとか生活している。そんな姿が、少しでも後押しになればうれしい」(紀子さん)

新しいことを始めたくなる土地山形

二人はもうすぐ、狸森で三年目の春をむかえようとしている。自然のなかに暮らすようになって雪かきなどの肉体的な疲労は増えたが、満員電車などの精神的な疲労はなくなったという。
「ここに暮らしていると、不思議と何か新しいことをしたいという気持ちになってくるんです。これからはヨガやパラグライダーなどに挑戦したいですね」(洋己さん)
「私は畑をがんばりたい! 山菜採りや料理も地元の方に習って、素敵な田舎のおばあちゃんになるのが目標です」(紀子さん)

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写真:山本尚明 / 文:杉山正博

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